ラケットのパワーはダウン傾向に!/No.7

パワーダウンの時代!

テニスワン+BTLのラケットドックでは、これまで数千名の方に対してラケットフィッティングを実施してきましたが、その積み重ねの中で、当初は予想していなかったことが見えてきました。
それは簡単にいうと「今までのラケットってパワーが有りすぎ!?」

パワーダウンパターン

このレポートではいろいろなパターンの持ち替えの事例をご紹介しようと連載を始めたのですが、意外にもラケットのパワーをダウンさせるパターンがドックを受けた方の80%以上を占めています。

これは、「パワーのあるラケットから飛びを抑えたラケットへの持ち替え」ということですが、プレーヤーの性別、年齢を問わず、飛ばない方向への持ち替えがラケットドックでは恒常化しています。
その結果を受けて谷口コーチと下した結論は、「ほとんどのプレーヤーはもっと飛ばないラケットにしたほうが、テニスが良くなる!」ということです。

もちろん、「ハードすぎるラケットを使っているプレーヤーが、より楽なラケットに持ち替えることでプレーにリラックス感が出てくる」というパターンもないとはいえないのですが、全体の中に占めるパーセンテージは非常に少ないといえます。
自分の打球を相手コート内に入れるために、体の動きに何らかのセーブを加えながら打っているプレーヤーが、もう少し飛ばないラケットに持ち替えることで全体の動きに躍動感が出てきて、プレーのレベルが上がるという例があまりにも多いのに驚いています。

オーバーパワーのサイン

ラケットがプレーヤーのスイングに対してオーバーパワーであるとき、外から見てフォーム上では以下のような症状が現れます。

1.インパクトの直前、振りのスピードに微妙にブレーキをかける。
2.インパクト直前からスイングの方向を変えてラケットヘッドをボールの軌道から外す。

1.は単純に、ボールとの衝突スピードを遅くする動きで、2.ではスピードは落とさずにスイングの方向を飛球方向から外すことでボールを押さないようにして、ボールに伝わる力を小さくする動きです。
外す方向はさまざまで、ボールの上に抜いたり下に抜いたり、スイング軌道の内側に小さく巻き込んだりというようなかたちです。

自己診断チェックポイント

ご自分のスイング、フォームの中に飛びをセーブする運動要素が含まれていないか、一度自己診断されてみてはいかがでしょうか。
ラケットドックで見る限り、オーバーパワー(飛びすぎ)症状はかなり多くのプレーヤーに広まっているといえます。

以下はその自己診断チェックポイントです。

1.ストロークのインパクトからフォロースルーにかけて、何となく腕が縮まっているような感じはありませんか?
2.スイング中、ずっと腕に力が入り続けていると感じたことはありませんか。
3.自分の力が充分にボールに伝わっていないと感じていませんか。
4.スイング中の自分の動きが「なんとなくぎこちないなぁ」と感じたことはありませんか。
5.打球の深さをコントロールしようとするときの力の抜き加減が微妙で難しいと感じていませんか。

飛ばす打ち方から入れる打ち方へ

昔の話で恐縮ですが、ウッドラケットの頃の女性初心者は、今のハードヒッター向けといわれるモデルより飛ばなくて打点の難しいラケットでテニスを始めていました。
それに比べれば今のモデルは全て大幅にパワーアップされているわけですが、その頃から現在に至るまで、飛ぶようになったラケットに合わせてコートが広くなったという話は聞きませんので、だんだんと飛ぶようになってきたラケットでコートに安定して入れるためには、ボールの飛びを抑え込む技術が必要になってきたわけです。

カーボンラケットの進化

10年前のラケットと現在のラケットのパワーを新品の状態で比較することができませんので数値的な証明はできませんが、カーボンフレームの製造技術が進化を続ける中で、フェースサイズやフレーム厚などの外形規格が以前と同じでも、ラケットがボールを安定して飛ばす性能は向上しています。
車に例えれば、同じ2000ccという規格のエンジンでも、十数年前と今とでは馬力性能に大きな開きがあるのと似ています。

今改めて、ハードヒッター向けといわれる薄いフレームのラケットを使ってみて、意外に楽だなと感じられる方はかなり多いのではないでしょうか。
テニスが飛距離を競う競技であれば、ラケットのパワーアップは誰からも喜ばれるのでしょうが、制限された範囲内にボールを落とさなければならないということが大前提のテニスというスポーツでは、良く飛ぶということは必ずしもメリットにならないことは明白です。

ブレーキは疲れる

インパクトの強さを調節するためスイングにブレーキをかけるというのは、それほど楽な作業ではありません。
ヘッドスピードを上げるための筋肉と、それにブレーキをかける筋肉は別なので、その両方を使いながら打つことになります。
車でいえば、ブレーキとアクセルを同時に踏むような状態になり、片方だけを操作するより複雑になります。
動きが複雑になればなるほど同じことを再現することが難しくなり、ショットを安定させにくくなります。

また、振るためだけの筋肉を使っている場合は、インパクト後は脱力して惰性で振り切る状態になりますが、スイングにブレーキをかけながら振っている場合は、インパクト後も脱力することができず、スイングの最後まで力が入ったままになります。

厚いのは薄くなって薄いのは厚くなる!?

同じフェースサイズのモデルで比べた場合、フレーム厚が厚くて飛びの出やすいラケットではボールの表面をこするような薄い当たり方が多く、薄いラケットに持ち替えた場合は、同じスピン系ストロークでも、インパクトでボールを押しながら回転をかけるような厚い当たりが多くなります。
「厚いラケットは当たりが薄くなり、薄いラケットは当たりが厚くなる」という言葉の遊びのようなことが現実に起きます。

厚いフレームではフラットに当てると飛びすぎてしまうため、飛びを抑えるために回転をかけて沈めるのでブレーキ型のスピンといえますが、薄いフレームでは飛びを抑える必要が少ないので、打球方向に押しながら回転をかけられるのでアクセル型のスピンといえます。
こすったスピン(ブレーキ型のスピン)と、押したスピン(アクセル型のスピン)では、当然のことながら球筋に違いが出て、後者のほうが押している分だけ打球に伸びが出ます。

オーバーパワーで動きが止まる

オーバーパワーラケットの弊害はこの他にも、意外なところにもあります。
ボールの飛びを抑制する必要があるとき、腕の振りや体軸の回転、体重移動など、体の各部分の動きにブレーキがかかることが多く、その結果、スイングが終わったときに立ち止まった状態=静止状態に陥りやすいのです。

「スイングが終わった後は止まっていても別にいいじゃないか」というご意見もありそうですが、ラリー中に静止状態になるということは、次のショットに対応するためには「動きをスタートさせねばならない」ということです。
ボールを打つために毎回毎回、静止状態からスタートするより、動きが流れていたほうがタイミングを合わせやすく、体の負担も少なくなり、ショットとショットの間のつながりが良くなります。
フィットしたラケットに出会ったとき、外からの視点で技術レベルが一段上がったように見えるのはそのせいでしょう。

パワーダウンの時代へ

現在、新たに発売されているラケットのフレーム厚は、だいたい19mmから30mmくらいですが、ラケットドックを通して見る限り、実際に要求されているのはもっとパワーを落としたレベルで、16mmから25mmくらいの範囲ではないかと思うようになってきました。

次回は、ラケットドックの現場では実際にどんなラケットからどんなラケットへの持ち替えが進んでいるのか、具体的な集計データをお知らせしようと思います。

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