テニスのフォームは無意識的に変わる/No.12

身体が無意識的に反応するからフォームが変わる

「テニスでは、ボールを打つ動作は無意識的な反応、反射的な動きに支配されている部分が多いので、意識的にその動きを修正するのは難しい。」
「ラケットを持ち替えると、手に伝わるインパクトの感じ(情報)が変化し、飛びの結果(パワー出力)も変わるので、プレイヤーの動きに無意識的な変化が起きる」ということを前号では説明しましたが、いつも「意識的して打っている」とお考えの方には意外に思われたかもしれません。

意識と実際の違い

プレー中の意識内容とプレー中に実際に起こっていることの違いについては、時間という観点からもチェックすることができます。

前号で述べたように、ストロークで相手が打ったボールをこちらが打つまでの時間は約1.5秒から2秒ということでしたが、これについても「えっ、そんなに速いの?」と意外に思われた方が多いのではないでしょうか。
あなたのテニス仲間の方々に、「ストロークで相手が打ってから、こちらが打ち返すまでの時間はどれくらい?」という質問をしてみて下さい。
多くの方から2秒から4秒という答えが返ってくるでしょう。実際に計測すると、初心者のゆっくりとした山なりボールでも2秒ちょっとですので、ほとんどのプレイヤーはラリー中の時間を実際よりも長く感じているということです。

初心者にとって、上級者のスピードボールは文字どおり「あっという間に」飛んでくるために反応できませんが、そういうボールを平気で打ち合っている上級者同士は、それほど時間が短いとは感じていません。
熟練度によって時間の長さの感じ方が変わるわけで、打つまでの時間を長く感じれば感じるほど打つ際に余裕が生まれるのです。

この辺にも「上達」や「集中」のヒントがあるのですが、それについてはまた別の機会に触れたいと思います。
とりあえず、テニスでは「プレー中の意識内容とプレー中に実際に起こっていることの間にはギャップがある」ということをご理解いただけると、新しいステージが開けるかもしれません。

良い変化と悪い変化・・・合理的かどうか

「このラケットだと、こうやって打つのが一番打ちやすい」という形に、知らないうちにフォームは変化していきます。別段、そうやって打とうと考えたわけでもなく、そうしたいと願ったわけでもないのに自然に変わってしまうのです。
そして、当然のことながら、その変化には良い変化と悪い変化があります。

出てくる変化が良いか悪いかについては、その動きがテニスをする上で合理的かどうかということで判断することができるでしょう。
単純に言えば、「動きの中のムダをできるだけ減らして効果的なショットが打てる」ということですが、ここにも多くの誤解を生む原因があります。
つまり、そのテーマが「少ない労力で勢いのある打球」という言葉に変換されて一人歩きをすると、パワーのあるラケットを使うことが簡単な解決策だと誤解されてしまうのです。

多くのプレイヤーが厚ラケを選び、厚ラケが一世を風靡した時期があったことの背景が、ここにあると言えるでしょう。
この誤解についてはこのレポートの当初から、「パワーのあるラケットは必ずしも楽ではない」ということを繰り返し説明してきましたが、パワーのあり過ぎるラケットでは、ボールをコート内に入れるために余計なアクションや複雑な動作が必要になるので、合理的ではないということなのです。

ラケットの束縛からは逃れられない

打ち方のクセや個性だと思われていたのは、実は使っているラケットによって「そうやって打つように強制されていた結果」ということが珍しくありません。

ラケットドックでは、はじめにフィッティング対象者の使用ラケットを谷口コーチが打ちます。
そのラケットのストリングセッティングによって、そのモデルの本来の特性から大きく変えられている場合が多く、使いやすいと感じられるラケットは少ないのですが、テスト後に対象者がそのラケットで打っているのを見ながら、よく、「そうだよね、あのラケットだとああやって打つしかないよね」とつぶやいています。

自分の意志でスイングしていると思っている方は、ラケットによって動かされているということが不思議に感じられるかもしれませんが、自分のショットをコートに入れようとする限り、テニスプレイヤーはラケットの束縛から自由になることはできないのです。

ラケットさえ替えればなおる

ラケットが悪い動きの原因になっている場合は、そこに手をつけずにフォームだけをなおそうとしても無理で、一時的には変えることはできてもすぐに戻ってしまうでしょう。

ラケットのスイングウェイトが重すぎて、その負担を避けるためにスライス系のショットが持ち球になっているプレイヤーに、ドライブ系の打ち方を教えても身に付かないでしょうし、飛びすぎるラケットで中途半端なスイングになっているプレイヤーに、大きく振り抜きなさいと指導しても二段階で振るようなぎこちないフォロースルーになるだけです。

ラケットが原因で悪い動きが出ている場合は、そのラケットに手をつけずにフォームを改造するのは困難ですが、逆に言えば、ラケットさえ適切なものに持ち替えれば、本人が意識的して努力することなくフォームは自然に変わります。
ラケットによって無意識的に起きている動きは、ラケットを持ち替えることで無意識的になおすことができるのです。
インパクトでボールを押す動きを引き出すラケットを使えば、本人が特にがんばらなくても自然にスイングは大きくなります。

知らないうちになおっている

そして、この無意識的な変化のメリットは、その動きが固定化するということです。
意識して変えた動きは気を抜くと元に戻ってしまうのですが、意識しないで変わった場合は以前のラケットに持ち替えない限り、元には戻らないのです。
ラケットを持ち替えることで、「知らないうちになおっている」という状態を手に入れることができるのです。

今まで、ラケットの持ち替えというのは、あまりそうした視点ではとらえられていなかったと言えます。
ですが、意識的に変えることが難しいフォームやスイングを無意識のままで改善できるのであれば、それを無視するのは損だと言えるでしょう。

無意識的な変化には気が付かない

このコーナーでは、掲載当初から「ラケットを持ち替えるとスイングが変わる」と言い続けていますが、それが一般のプレイヤーに充分理解されているとはは、まだ言い難い状況です。
理解が進まない原因はある程度はっきりしています。
無意識的な変化は文字どおり「無意識的」なので、本人が「意識」できないのです。
意識(認識)できないことに対して、通常、人は存在していないと思いがちですので、自分の無意識的な変化に気付く方は少ないのです。

持ち替えた後にフォームが大きく変わっても、本人の意識では「違和感なく、すんなり持ち替えられる」だったりします。
ですから、ラケットドックではビデオカメラを活用して、画像をCDに落としてご本人にお渡ししています。
無意識的な変化は、自分の身体の動きが変化することを客観的に見ることではじめて納得できるのです。

変化の判別は難しくはない

プレー中に自分の身体の動きがどうなっているかを客観的に把握するのは困難だと言えますが、自分ではなく他人のプレーであれば特に難しいことではありません。
ご夫婦やお友達と参加した場合など、ご一緒の方がフィッティングしているところを観察していれば、動きの変化は見て取れるでしょう。

いろいろ持ち替えた中でどれがベストフィットだったかを見分けるのも、ある程度のプレー経験があればおのずとできてしまう場合が多いのです。
このように、見分けること自体はそれほど難しいことではないので、もっと多くのコーチの方々にラケットフィッティングに取り組んでいただければ、生徒さんのプレーにプラスになり、喜んでいただけるのではないかと思っています。

ラケットがフィットしたとき

フィットしたときの自覚としては、以下のようなものがあります。

・あれこれ考えずに無心に打てるようになる。
・体の中のどこかにあった、打つときの変な緊張感が無くなり、リラックスできて自分の力を
・力を自然に解放する感じで打てるようになる。
・次のショットに対してスムーズに体が動くようになる。
・普段はやらないような、いろんな種類のショットが打てるような気がしてくる。

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