ラケットを持ち替えると強くなる—その根拠/No.13

「ラケットが合っていないことによって起こる障害を克服することが、練習の課題になっている方が多い。」という指摘をラケットドックの現場で谷口コーチがよく口にします。

あるジュニアプレイヤーの場合

そのジュニアプレイヤーは、ストロークがいつも短くなりがちで、試合ではそれを相手から打ち込まれてポイントを失うパターンが多かったのですが、普通はこういう場合、深いショットを安定して打ちつづけることが彼の当面の課題になります。

これまで彼は、その課題をクリアすべく日々練習に励んできたのですが、こうしたこと自体ついては、ほかの誰もが別におかしいこととは思わないでしょう。
ですが、その根本原因がラケットにあるということを聞くと、「えっ、何それ」ということになるのではないでしょうか。

変化に要した時間はほんの十数分

彼はオーバーサイズの中厚ラケットを使っているのですが、そのラケットのパワーがあり過ぎるために、ボールを打ち抜くようなスイングができずに、スピン量の多いショットを打っていました。
ですが、トップスピン系のストロークを深く打ちこむには、ジュニアのスイングパワーでは足りないため、どうしても浅くなってしまいがちでした。
かといって、スピン量を減らして厚く当てるとアウトしてしまうので、当たりの薄いスピン系ショットにならざるを得ないのです。
その結果、試合では浅くなったショットを打ちこまれたり、深く打とうとしたショットがアウトしたりの繰り返しになっていたのです。

それまでのラケットよりパワーを抑えたホールド性の高いラケットに持ち替えると、当たりが厚くなってショットのスピードが増し、何よりも、ベースライン手前にショットの深さが揃うようになりました。
そして、その変化に要した時間は、ほんの十数分です。彼がこれまでに「深いショットを安定して打つ」という課題克服のために費やした練習時間は、何だったのでしょうか。

今までは試合中も常に、ショットが浅くならないよう注意しながらプレーしてきたのですが、意識しなくてもショットが深く揃うようになれば、ラリー中の意識を自分のショットの深さに対してではなく、戦略的な組み立てに向けることができるようになり、心理的にも大きな余裕が生まれます。

安定しないのを何とかしたい

この例のように、「自分のショットが安定しないのを何とかしたい」と考えている方は意外と多いのではないでしょうか。
安定しない理由がラケットにある場合、以下のようなパターンが考えられます。

◆打球をコートに入れるために複雑な動きをしている
ラケットがパワー過剰の場合、ボールの飛ぶ方向にラケットをシンプルに振り抜くと飛びすぎてしまうため、当たりを薄くして回転量を増やすなど、スイングが複雑になりやすい。
複雑な動きは毎回同じように繰り返すことが難しいので狂いが出やすい。

◆力が入っているため体軸がブレている
ラケットがパワー不足の場合、パワーを補うために身体に力が入って体軸が前方、あるいは後方に傾斜する。
そうなると、スイング中にバランスを崩しやすくなり、ショットのバラツキが大きくなる。

◆まともに当たると飛びすぎてしまうが、力をセーブすると今度は短くなってしまう
インパクト時に力の抜き加減でボールの飛びを調節しようとすると、微妙な調節感覚が必要となり、動いて打つ時などに失敗しやすい。

この「不安定なショットを安定させたい」というテーマ以外にも、以下のようなテーマをクリアするために練習を重ねている方も多いのではないでしょうか。
・苦手なボレーを克服したい
・もっと回転のかかったボールが打ちたい
・大きく振り抜くスイングをしたい

苦手なボレーを克服したい

非力な女性によく見られるのですが、プレイヤーの筋力に対してスイングウェイトが重すぎるラケットを使っている場合、ボレーが苦手になることがあります。
ボレーはストロークよりも時間的余裕がないので、素早くラケットを操作しなければならないのですが、スイングウェイトが重すぎると操作が間に合わずにオフセンターヒットになることが多くなります。
そのような失敗が重なると、どうしてもそのショットを避けるようになって苦手意識が定着することになります。

ストロークはボレーより忙しくないので、スイングウェイトの重さがそれほど負担になりませんが、それでも、操作するための時間を確保するために、無意識のうちにベースラインの後方深い位置にポジションを取る傾向があります。
そのようなポジショニングも、ボレーに出ることを難しくする要因になります。

そのような状態のプレイヤーが、障害となっているラケットをそのままにして苦手なボレーを克服しようと努力するのは、ムダとは言いませんが効率的でないことは確かです。

大きく振り抜くスイングをしたい

ラケットのパワーがあり過ぎて、不用意に当てるとアウトしてしまうのでコンパクトなスイングになっているというプレイヤーが、スイングの改造に取り組んで大きく振り抜こうと努力しても、元々の原因を取り除いていない状態では、望ましい結果が得られることはないでしょう。

球離れの速い厚ラケなどを使っていると、インパクトの前後だけヘッドスピードを上げるコンパクトな振り方になり、インパクト後にラケットヘッドを止めたり、内側に巻き込んだりしますが、それは、打球をコートに入れるために必要な動きなので、フォロースルーを大きくしようと頭で考えてもうまくいかないでしょう。
大きな振りを身につけるために貴重な練習時間を費やすより、飛びを抑えたホールド性の高いラケットを使えば、自然とスイングは大きくなっていきます。

もっと回転のかかったボールが打ちたい

スピン系のショットを打ちたいと思って、練習を重ねている方も多いのではないでしょうか。
ダブルスではボールを沈めることが要求される場合が多いのですが、持ち球がフラットやスライスでは沈めにくいので、スピン系のショットを身につけたいと思うようになります。

ただ、ここでも問題なのは、持ち球がフラットやスライスになったのには、ラケットに原因があるのではないかということです。
ラケットのスイングウェイトが重すぎる場合、テイクバックで一旦ラケットヘッドを下げてしまうと重くてタイミングを合わせずらいため、上げた状態から振り下ろすスライス系のスイングになっていることがあります。

また、ストリングが硬すぎたりして飛ばない状態のラケットでは、スイングパワーをボールの回転に使うと推進力が不足するため、フラットに当てて飛ばすことになります。
この状態では、スピン系のショットを打とうとしてもかなり一生懸命振らないとネットしてしまうでしょう。
どちらの場合もラケットをそのままにして努力で克服しようとしても、効率の悪い練習を重ねることになります。

マイナスからゼロに到達するための練習

ラケットによって発生した障害を乗り越えるために、努力や練習が必要だというのは何かとても不合理なことのように思われます。
「好きでやっているんだ」と言われてしまえばそれまでですが、フィットしたラケットがあれば必要のないことのために練習時間を費やすのは、端から見れば時間の浪費だと思われます。

ラケットがフィットしていれば、技術の幅の拡大や戦術的な課題の習得などに取り組めるのに、ラケットによってもたらされた障害のために、そのスタートラインに立つことができないのです。
その障害を克服するための練習は、スタートラインの後方からスタートラインに行き着くための努力ということになります。

谷口コーチがよく言うのですが、「ゼロからのスタートではなく、マイナスからゼロに到達するための練習をしている」ということなのです。
「多くのプレイヤーが技術課題として取り組んでいることは、実は技術的な課題ではなくラケットで解決すべきことで、本当の課題はもっと別にあるのでは。」とも言っています。

フィットしたラケットでは無意識的に打つことができ、無意識的に打つことができれば、打つことに意識を使っているレベルから抜け出して、戦術的なことに集中することができます。

そしてあなたは強くなるのです。

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