合うラケットを使えば動きが良くなる!/No.15

ほとんどのプレイヤーは「自分に合うラケット」を求めています。
ですが「合う=フィットするとはどういうことか?」を理解している人は意外に少ないようです。
ひとことで言うと「合わないラケット」はプレイヤーの足カセになり、「合うラケット」はショットに時間的な余裕をもたらします。
その仕組みを解明するキーワードは「テニスはとっても忙しい!!」

プレイヤーの邪魔にならないラケット

ラケットドックを通して、フィットしたラケットとはどういうものかについて、より具体的に把握することができるようになりました。
それは、フィットしたラケットはプレイヤーをアシストするものではなく、プレイヤーの邪魔をしないということなのです。

「ラケットがフィットするとプレイヤーの戦力がアップする」ということを聞くと、ラケットがプレイヤーを助けてくれるようなイメージを持ちやすいのですが、実際はそうではありません。
合うラケットは、単にプレイヤーの動きの邪魔をしないだけなのです。

ラケットがプラスアルファの働きをするのではなく、合わないラケットがもたらすマイナスの状態を排除してゼロにするだけなのです。

合わなければプレーの障害になる

サイズの合わないシューズは歩きにくかったり、速く走れなかったりしますが、合うシューズを履いたからといって、その人本来の能力以上に速く走れるということはないでしょう。
合わないシューズは走る上で障害になりますが、合うシューズは障害にならないだけで、走る手助けをしてくれるわけではありません。

パワーアシストを期待してシューズの底にバネを装備したりすれば、かえってバランスを崩しやすくなって走りにくくなるでしょう。テニスラケットもそれと同じです。

テニスをするのは人間であってラケットではありません。
コートを走り回るのは人間の足であり、飛んでくるボールに対して適切なタイミングと力加減でラケットを振るのは人間の腕です。ラケットはその腕の先にあって、ボールを打つのに使われるだけなのです。
ただ、足先に履かれるシューズが合わなければ走りにくいのと同じように、手の先にあるラケットが合わなければプレーの障害になります。

どんなふうに障害になるのか具体例を2~3ピックアップしてみました。
その際にキーになるのは冒頭に書いた「テニスはとっても忙しい!!」です。

A. ラケットのパワーがプレイヤーに対して過剰な場合

これについては、これまでこのコーナーで何度も取り上げてきたように、飛びすぎを防ぐために身体の動きを抑制する傾向が見られます。
ストロークではインパクト後にスイングを止めたり、小さく巻き込んだりして、スイングパワーが打球に乗らないように調整します。
打球方向への体重移動も制限して重心を後に残すような傾向も見られ、総体的に、身体の動きを抑制してショットの後に静止する状態が生まれやすくなります。

その1回のストロークだけをとらえれば、インパクト後に静止することはあまり問題にはなりませんが、ラリーが続いていてショットが繰り返されることを前提にすると、静止することはマイナスに作用します。
つまり、身体の動きが一旦止まると、次のために動き出さねばならないのです。
静止状態から動き出すのには、動き続けているときより労力が必要で、同時に、次のショットのために動き出すタイミングが難しくなります。

動いて静止、動いて静止を繰り返すのは身体の負担にもなり、機敏な反応が難しくなります。
動いている状態を維持して、動きの流れの中で相手の打球に反応したほうが、次の準備にも入りやすいのです。
運動しながら、その運動にブレーキを加える必要がある時には、微妙な調節が必要になり、身体の中に緊張感が持続しやすくなります。
スイングの終盤まで力の抜けきれない妙な緊張が自覚される場合は、このパターンを疑ってみると良いかもしれません。

無視できない「静止している時間」

「静止しているといっても、ほんの一瞬のことだから影響ないんじゃないの?」と言われるかもしれませんが、ここで出て来るのが「テニスはとっても忙しい!!」です。

一般レベルのダブルスではサービス&ボレーを前提にすれば、相手が打ったボールをこちらが打つまでの時間は1秒くらいです。ロブで抜かれて背走して返球などという特殊な場合は3秒近くかかることもありますが、ボレー対ストロークが基本になる場合は、平均して1秒前後しかありません。
ベースラインでの打ち合いが1.5秒から2秒くらいなのと比べると大分忙しくなります。

その忙しいさなかに、たとえコンマ何秒でも静止状態があるということは、プレーに大きな影響を与えるということがお分かりいただけるでしょう。
0.2秒間止まっているとすれば、相手が打ってから動ける範囲は20%縮まるわけです。
打つ前に少しの余裕があるかどうかが、ショットの成功率を大きく左右することは皆さんご存じだと思います。
そういう意味で次のショットへの準備を、常にワンテンポ遅れてスタートしなくてはならないというのは不利だと言えます。

B. ラケットのパワーがプレイヤーに対して不足している場合

ラケットのパワーが不足している場合はどのようになるでしょうか。
一般的なのは「力む」ことです。相手の打球に押し負けないために腕や身体に力が入ります。「力む」ためにはしっかりした足場が必要になるため、打つ前の早い段階からスタンスを固めて準備するようになります。
その結果、フットワークを早めにやめてしまうことになり、バウンド後のボールの変化に対応しにくくなります。

また、早めにスタンスを決める必要があるということは、守備範囲が狭くなることを意味します。
打つ直前まで動いていると足場を固められないからです。
ラケットがパワー不足であることによって起こる症状の別なパターンでは、身体の軸が前後にブレます。
パワー不足を補うために身体の動きが大きくなって、上体が前に倒れ込んだり、逆に、ラケットを前に押し出すために身体が後に反ったりという動きが見られます。

そして、このパターンも時間の浪費につながります。つまり、体軸が前後に倒れている状態ではすぐに次の動きに入れないので、崩れたバランスを元に戻す時間が必要になります。
通常は倒れている方向へ一歩踏み出すことでバランスを修正しますが、その分、次の動きに移るのが遅くなるのです。
ショットを打つ度に崩れたバランスを立て直す時間がかかるわけで、テニスという忙しいスポーツで常に余計な1歩を強いられるのは不利だと言えます。

強打した後のフォロースルーで固まっている間に、相手のボレーの打球が自分の横をすり抜けていくという経験のある方は、このパターンを疑ってみると良いかもしれません。

「合うラケット」は動きをスムーズにする

ラケットドックでは、フィットしたラケットを見分けるのは比較的容易です。
参加者同士で観察しあっても、それと分かる場合が多いと言えます。それは、そのラケットを使うと急に上手くなったように見えるからです。
その仕組みは前述したように、流れの中で動けるようになるからです。

動いて止まってというギクシャク、バタバタした動きから、スーッと流れるような連続性のある動きに変わり、打つ前に時間的な余裕が出てくるのを横から見ていると、技術レベルが1ランク上がったように見えます。

新しいラケットは+αの何かをしてくれる?

新しいラケットが次々と発売され、それらについて、新しい素材や新しい構造が採用されているというような解説を読むと、「新しいラケットは何かしてくれる!?」というような錯覚に陥ることがあります。

数年前、フェースサイズが拡大し、フレーム厚も増加して大きなパワーを持ったラケットが全盛を誇った時期がありましたが、その頃のテニスプレイヤーの頭には「パワーアップしたラケットでテニスが楽になる」という共通認識があったと思います。
ところが現実はそうではなかったという話は、このコーナーの初期のレポートでご紹介しました。

プレーの主体は人間! ラケットではない!

ラケットが何かやってくれるものだと考えると、ラケットのパワーが大きくなることは誰にでも歓迎されることなのでしょうが、これは、ラケットをプレーの主体とした考え方です。
そこではプレイヤーの働きや機能が忘れられています。ラケットではなく人間がプレーの主体だと考えれば、オーバーパワーのラケットは単に「アウトしやすいラケット」だということが分かります。

テニスでは、実際に動き回るのは人間で、ラケットはその動きの最後でボールを打つ時に使われるだけです。
ただ、ラケットの性能がショットの結果を左右するため、それがフィードバックされて人間の動きにさまざまな影響を与えます。
それによってプレイヤーは、スイングの調整という作業を強いられることになるのですが、その余計な調整作業が少なければ少ないほど、プレイヤーの負担は減って持てる能力を発揮しやすくなります。

ということは、プレーの向上を目指すためには、ラケットの機能がプレーを助けてくれることを期待するより、人間の機能の邪魔にならないラケットを探すほうが現実的です。

プレイヤーの邪魔にならないラケットこそが、プレイヤーの能力を最大限に引き出すラケットなのです。

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