試打のためにクリアすべき条件

試打の際にクリア
しなければならない条件

でも、この実際に打ってみるという単純なことを実現するのが実はとても難しいのです。
その理由は二つあって「用意するラケットの問題」「判断の方法」です。

用意するラケットの問題

「用意するラケットの問題」は具体的には以下の三つです。

  • 1.候補の選抜
  • 2.ラケットには個体差がある
  • 3.ラケットはガット次第

1.候補の選抜

現在、テニス市場で販売されているラケットは、全部合わせれば100モデル以上あるので、それらの全てを候補にしてしまうと、試打を重ねても一日では終わらずキリがなくなります。
ですから、あらかじめ対象候補が選抜されていないと収集がつかなくなります。
その候補選びが重要なのですが、これまで10,000名以上のフィッティング経験のあるラケットフィッターがプレイヤーの動きを見ながら適切な候補を選び出すため、フィットするラケットに効率的に出会うことができます。

2.ラケットには個体差がある

テニスラケットにはスイングウェイトという数値があって、同一のモデルでもその値はラケット1本1本で個体差が大きいのですが、その数値次第で操作性や打ち負けやすさなどに直接的な影響が出ます。
ですから、適切な数値の個体を選んで試打しなければプレーが良くなるラケットは見つかりません。

3.ラケットはガット次第

ボールが当たるのはフレームではなくストリング面なので、そこの状態が適切でなければラケットの性能は台無しになってしまいます。
ですから、試打する際は「適切なストリング・セッティング」が欠かせない条件です。
ラケットドックで用意されているラケットは全てフィット率の高い状態に張り上げられています。

ラケットの問題についてもう少し踏み込んで知りたい方はこちら
⇒ラケット選びはモデル選びとイコールではない

このように、「1.候補の選抜」「2.スイングウェイト」「3.ストリング・セッティング」という三つの条件を同時にクリアしたラケットを用意しなければ効果的な試打ができないわけです。

判断の方法

さらに、ラケットの問題をクリアしても、最終的な結果の判断を間違えては何もなりません。
でも、その判断のしかたに見逃しがちな落とし穴があるのです。
その落とし穴とは、「実際に打ってみても本人はわからない」ということです。

もちろん、打った感じが好きか嫌いかは本人がわかるし、逆に言えば、それは本人しかわからないのですが、でも、これまでの経験でわかったのは、好き嫌いで選ぶとハズレを選んでしまう可能性が高いということです。

というのも、使うラケットの相性次第でプレイヤーの戦力に違いが出るのですが、それをプレー中の本人が把握するのは容易ではありません。

プレイヤーの動きと打球の状態

プレイヤーの戦力とは、大きく分ければ「打っているときの動き」「打球の状態(安定性と勢い)」です。
プレイヤーの動きについては、テニスは長時間に及ぶスポーツなので、できるだけ負担が少ない動きのほうが良いのは言うまでもありません。
ただ、いくらプレイヤーの負担が少なくても、打球に勢いがなければ、決め手の無い打ち合いが続くだけでなく相手から攻め込まれてしまいます。
ですから、「プレイヤーの運動負担」と「打球の状態」の両方を同時に観察して合うラケットを見つける必要があるのです。

ボール以外のものに注意を向けられない

でも、打ち合っている最中のプレイヤーはとても忙しいので、そんな余裕はありません。
プレー中は、ボール以外のものに注意を向けたとたんにミスが出るくらいボールの動きへの集中が必要なので、自分の身体の動きなどは気にしていられません。
ですから、合うか合わないかの判断はプレイヤー以外の人に任せるしかないのです。
プレイヤー本人の判断では、打球感の好き嫌いや、デザイン、好みのプロ選手など、戦力とは関係のない理由で選ぶことが多いのでハズレやすいわけです。

運動の強度と打球の強さは反比例する

さらに、ラケットドックの現場で見る限り、プレイヤーの負担が減ってリラックスした状態のほうが打球の威力が増す例が多く、その逆に、プレイヤーが一生懸命打つと運動が空回りして打球が失速するケースが多いのです。

勝ちやすいラケットはプレイヤーが頑張ってしまうラケットではなく、運動が効率化するラケットです。

ラケットドックで快適なラケットを手に入れてください。